更新日: 2026年3月14日
生活保護の受給条件・申請方法・金額をわかりやすく解説
生活保護は日本国憲法第25条で保障された国民の権利です。「自分は受けられないのでは」と思い込んでいる方が多いですが、条件を満たせば誰でも受給できます。本記事では受給条件、申請方法、支給金額の目安、よくある誤解を詳しく解説します。
生活保護は「最後のセーフティネット」です。恥ずかしいことではありません。生活が困難な状態が続いているなら、まずお住まいの地域の福祉事務所に相談してください。
目次
生活保護の受給条件(4つの要件)
生活保護を受けるための条件は以下の4つです。これらは「原則」であり、柔軟に運用されています。
1. 資産の活用(資産活用の原則)
預貯金、生命保険(解約返戻金)、不動産、車などの資産を活用しても生活できない状態であること。ただし、住んでいる自宅や生活に必要な家財は処分不要です。
・預貯金:最低生活費の半月分以下なら保有可能(目安:5〜8万円程度)
・持ち家:住んでいる自宅は原則保有可能(処分価値が著しく大きい場合を除く)
・車:原則不可だが例外あり(通勤・通院・障害者等)
2. 能力の活用(稼働能力の活用)
働ける人は、その能力に応じて働く努力をしていること。ただし、病気・障害・高齢・育児中など働けない正当な理由がある場合はこの限りではありません。就職活動中でも受給可能です。
3. あらゆるものの活用
年金、児童手当、失業保険など、利用できる他の制度を先に利用すること。ただし、これらの給付だけでは最低生活費に満たない場合、差額を生活保護で補う形で受給できます。
4. 扶養義務者の扶養
親族に援助を求めること。ただし、親族の援助は義務ではなく優先にすぎず、親族が援助を断っても受給可能です。DV・虐待関係の場合は照会を省略できます。
重要:4つの条件を「完全に」満たす必要はありません。例えば車を持っていても、地域の事情で必要と認められれば受給可能です。まずは相談してみてください。
生活保護でもらえる金額(2026年度)
生活保護の支給額は「最低生活費」から収入を差し引いた金額です。最低生活費は地域(等級地)、年齢、世帯人数によって異なります。
| 世帯構成 | 東京23区(1級地-1) | 地方都市(2級地) | 地方(3級地) |
|---|---|---|---|
| 単身(20〜40歳) | 約13.1万円 | 約11.0万円 | 約9.7万円 |
| 単身(65歳以上) | 約12.0万円 | 約10.2万円 | 約9.0万円 |
| 夫婦のみ | 約18.5万円 | 約15.7万円 | 約14.0万円 |
| 母子(子1人) | 約19.0万円 | 約16.3万円 | 約14.5万円 |
| 夫婦+子2人 | 約26.8万円 | 約22.8万円 | 約20.2万円 |
※生活扶助+住宅扶助の合計。医療扶助・教育扶助等は別途。実際の金額は福祉事務所で計算されます。
生活保護の8つの扶助
| 扶助の種類 | 内容 | 支給方法 |
|---|---|---|
| 生活扶助 | 食費・被服費・光熱費等の日常生活費 | 金銭支給 |
| 住宅扶助 | 家賃・地代等 | 金銭支給 |
| 医療扶助 | 医療費(自己負担なし) | 現物支給 |
| 介護扶助 | 介護サービス費用 | 現物支給 |
| 教育扶助 | 義務教育の学用品費等 | 金銭支給 |
| 出産扶助 | 出産費用 | 金銭支給 |
| 生業扶助 | 技能習得費・就職支度金等 | 金銭支給 |
| 葬祭扶助 | 葬祭費用 | 金銭支給 |
医療費が無料:生活保護受給中は医療扶助により、医療費の自己負担はゼロです。持病がある方や通院が必要な方にとって大きなメリットです。
生活保護の申請から受給までの流れ
福祉事務所に相談
お住まいの地域の福祉事務所(市区町村役場内)に行き、生活保護の相談を行います。予約不要。生活状況を伝え、制度の説明を受けます。
申請書の提出
生活保護申請書を記入・提出します。申請は国民の権利であり、窓口は拒否できません。口頭での申請も法律上は有効です。
調査(申請後14日以内)
ケースワーカーが家庭訪問を行い、生活状況・資産・収入を確認。預貯金・不動産の調査、扶養照会も行われます。
決定通知(申請後14〜30日以内)
保護の開始が決定すると「保護決定通知書」が届きます。原則14日以内、最長30日以内に決定されます。
保護費の受給開始
毎月1回(通常月初)、指定口座に保護費が振り込まれます。申請日にさかのぼって支給されます。
申請に必要な書類
書類が揃わなくても申請は可能です。まず申請し、後から書類を提出することもできます。
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 生活保護申請書 | 福祉事務所の窓口で入手 |
| 本人確認書類 | 運転免許証、保険証、マイナンバーカード等 |
| 収入がわかるもの | 給与明細、年金振込通知書等 |
| 預貯金通帳 | 全ての口座 |
| 賃貸契約書 | 住宅扶助の算定に必要 |
| 医療関係書類 | 病気や障害がある場合の診断書等 |
重要:書類が揃わないことを理由に申請を拒否することは違法です。「書類が足りないから申請できない」と言われたら、「申請の権利がある」と伝えてください。
よくある誤解と真実
誤解:「若くて健康なら受けられない」
真実:若くて健康でも、就職活動をしても仕事が見つからない場合は受給可能。就活中でも申請できます。
誤解:「住所がないと申請できない」
真実:ホームレス状態でも申請可能。現在いる場所の福祉事務所で申請できます。
誤解:「外国人は受けられない」
真実:永住者・定住者・日本人の配偶者等の在留資格がある外国人は、日本人と同様に受給可能です。
誤解:「一度受けたら一生受け続けなければならない」
真実:就職や収入増加により、いつでも生活保護を辞退できます。再び困窮した場合は再申請も可能です。
誤解:「働いたら保護費が減るだけで意味がない」
真実:「勤労控除」があり、働いた収入の一部は手元に残ります。月15,000円の基礎控除に加え、必要経費も控除されます。
扶養照会について
生活保護の申請時に行われる「扶養照会」は、3親等以内の親族に「援助できますか?」と連絡する制度です。多くの方がこれを理由に申請をためらいますが、2021年の運用改善で大幅に緩和されています。
扶養照会が省略されるケース(2021年改正後)
- ・DV・虐待関係にある親族
- ・長期間(10年以上目安)音信不通の親族
- ・相続等で関係が断絶している
- ・借金の原因が親族関係にある
- ・著しく関係性が悪い(精神的苦痛を伴う)
- ・70歳以上の高齢の親族
扶養照会が嫌で申請をためらう必要はありません。事前にケースワーカーに「扶養照会をしてほしくない親族」とその理由を伝えれば、配慮してもらえます。
申請を断られた場合の対処法(水際作戦への対抗)
一部の福祉事務所では「水際作戦」と呼ばれる違法な申請拒否が行われることがあります。以下の対処法を知っておきましょう。
「まだ若いから働けるでしょう」と言われたら
→ 就職活動中でも申請は可能です。「申請する権利がある」と伝え、書面で申請書を提出してください。
「まず家族に頼ってください」と言われたら
→ 扶養義務は申請の要件ではありません。家族に頼れない事情を伝え、申請書の受理を求めてください。
「書類が足りないので今日は無理」と言われたら
→ 書類は後から提出できます。申請書さえ提出すれば申請は成立します。
困ったときの相談先
- ・法テラス:0570-078374(弁護士が申請同行してくれることも)
- ・生活保護支援団体:「つくろい東京ファンド」「POSSE」等のNPO
- ・議員への相談:地元の市区町村議会議員に相談すると動いてくれることも
借金がある場合の生活保護
借金があっても生活保護は受けられます。ただし、生活保護費で借金を返済することは認められません。そのため、借金がある場合は自己破産と併用するのが一般的です。
借金がある場合の一般的な流れ
- 1. 生活保護を申請・受給開始
- 2. 法テラスで弁護士費用の立替を申請
- 3. 自己破産の手続き(法テラス利用で実質無料)
- 4. 免責決定 → 借金がゼロに
- 5. 就労支援を受けながら自立を目指す
法テラスの特例:生活保護受給者は、法テラスの立替費用の返済が免除されます。つまり、実質無料で自己破産の手続きができます。
生活保護中にできること・できないこと
できること
- ・働いて収入を得る(勤労控除あり)
- ・スマートフォンの保有・利用
- ・引っ越し(福祉事務所の許可要)
- ・通院・入院
- ・子どもの進学(高校まで教育扶助あり)
- ・選挙権の行使
- ・銀行口座の利用
制限されること
- ・車の保有(原則不可、例外あり)
- ・高額な資産の保有
- ・借金の返済
- ・高額な贅沢品の購入
- ・ケースワーカーの訪問調査への対応(義務)
- ・収入の無申告(申告義務あり)
生活保護からの自立
生活保護は一時的なセーフティネットです。就労支援を活用して自立を目指しましょう。
就労支援プログラム:ケースワーカーがハローワークと連携して就職をサポート。職業訓練も受けられます。
就労自立給付金:安定した就労により保護が廃止になった場合、仮想的に積み立てた金額が一時金として支給されます(上限あり)。
技能習得費:資格取得や技能習得のための費用が生業扶助から支給されます。
相談窓口一覧
福祉事務所
お住まいの市区町村の福祉事務所が窓口です。役所内にあります。
法テラス
弁護士の無料相談・申請同行支援。電話: 0570-078374
生活困窮者自立支援窓口
生活保護の前段階の相談にも対応。各自治体に設置。
よりそいホットライン
24時間無料。生活の困りごと全般の相談。電話: 0120-279-338
Q&A よくある質問
Q. 生活保護の受給条件は何ですか?
Q. 生活保護でいくらもらえますか?
Q. 持ち家があっても生活保護は受けられますか?
Q. 車があると生活保護は受けられませんか?
Q. 借金がある場合でも生活保護は受けられますか?
Q. 生活保護を申請すると親族に連絡が行きますか?
Q. 生活保護の申請を断られたらどうすればいいですか?
注意:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の相談ではありません。生活保護の受給可否は個別の状況により判断されますので、お住まいの福祉事務所または法テラスにご相談ください。